Foobar 2000 1.1.10 Final 早くもリリース

Foobar 2000 1.1.10 Final

少し前から、気になっていたFoobar2000であるが、1.1.9-Finalをリリースしてから、1ヶ月ほどになるだろうか。
比較的早い1.1.10のFinalリリースとなった。クリスマスには早いが、程良く間に合った格好である。
前回の1.1.9あたりから、16bit Floating-pointの実験実装を始め、意欲的に開発を進めているようで、去年の今頃と比較すると、音質的な面では充分満足の行く変貌ぶりではなかろうか。
叱られそうだが、1.1.9以降のバージョンアップにより、音質的に、世間と足並みがそろっといった印象である。
最近の傾向としては、48kHz 24ビットサンプリングを視野に入れたリサンプリング技術が数多く実装され始めたのだが、基本部分におけるサウンドエンジンの出来栄えによって、そのほとんどが、無駄になってしまう場合も少なくなく、例えば、24ビットデジタルリマスター音声を、44.1kHz 16ビットのCDに収録して、なぜ音が良く聴こえるかといった聴感的な差異が、どれほどの音質変化となって現れるかというようなデリケートな違いになっている。(※ FFT分析の例:恒例の通り、音源は、「MP3 192k-CBR/中森明菜/Meu Amor」冒頭1分の積算波形とした。)

いくら擬似的に高音成分を増強しても、倍音増強のようなデジタル的な拡張に過ぎず、このような音声成分を”ゆらぎ成分”として処理したり、元々48kHz 24Bitサンプリングされた音声をフラクタル的に高音増強を見込んで、基本となる音声成分をどこまで作り込んでおくかといった、音声圧縮を行なうことを考慮した全体的な設計が必要になって来ている。しかし、一般的なところ、44.1kHz 16ビットな音声を扱うことも多いし、ディジタル楽曲配信などでは、概ね、良い所でも、MP3 CBR256(約256kbit固定ビットレート)か、MP3 V0(192~256kbit可変ビットレート)である場合が多い。
このような背景から、ロスレスなサウンドフォーマットを別にして考えると、概ね、20Hz~18000Hzまでの音声の加工を如何に上手く行なうかによって、その音質は比較的ドラスティックに変化しているように思う。
上記のFFT波形は、AIMP3 RC1を始めとする、サウンドプレーヤーとの比較であるが、例外的に、AIMP3 RC1は、その高音増強が施された波形であるが、同時に音が良いユニークな存在ではある。
先述のように、このような波形をいくら比較しても、実質的な音質差は、最終的には聴き比べてみないとわからないトレンドとはなった。しいて言えば、16000Hz~18000Hz周辺の音圧分布は、各々のプレーヤー各様で、音のディテールといった部分や、空気感がこの部分に現れやすいので、サウンドプレーヤーの色付けに関しても、このような周波数帯域を重視する傾向にあるのではないかと言えないこともない。

筆者の主観では、従来、常用のサウンドプレーヤーとしては、ちょっと物足りなかったFoobar2000も、MusicBeeと遜色の無いレベルまで音質が向上したため、少し目がが離せなくなった。
このまま行けば、次のバージョンアップでは、徐々に期待感が高まるような気がしている。

まあ、あまり使い込んではいないので、もしかして、次の機会までに、Foobar2000を常用にしているかどうかというのには、少し時期尚早であって保証の限りではないが。
余談だが、1.1.10まで来て、次は、1.1.11?と、もしかしたら、1.2.0の輪郭が見えると嬉しいかも知れず、内部エンジンの実装具合で、ここは、二分されそうな気配はあるかも知れない。

期待したいところである。

AIMP3 Build 950 RCバージョンリリース1

AIMP3 Build 950 RC1

音がいいAIMP3が、ついに、RC1をリリースし、メジャーバージョンリースの準備に入った。
少し前に内部エンジンの微調整を行なっていたようで、AIMP 3.00.934 Beta 5あたりから、極端な音質変化があり、グラフィックイコライザーの効き方が、少し変化していて、これまで設定していたパラメータでは、強く効きすぎてしまう傾向にあった。
AIMP3自体に組み込まれているエンジンなので、明らかに内部エンジンの改良だろう。

今回のバージョンは、メジャーリリースの第1号候補となるRC1だ。
先に紹介した、Beta5では、音の強弱がばたついた感じで、これでは、いただけないと考えて、しばらくは、様子見かと思っていたのだが、落ち着いて開発ができる環境になったのだろうか。今回のバージョンでは、これまで指摘していた曲を切り替える際のノイズ発生に関しても、ほとんど気にならないレベルに仕上がっている。音源によっても差があるのだが、USBオーディオ等を使っていると、プログラム終了時や、曲を切り替えたりすると、バッファーに溜まった分の楽曲が、再生されてしまうといった不具合があったわけだが、それに関しても修正されている。
ライブラリー機能に関しては、動作も安定してきており、オーディオライブラリーのオプションから「追加ファイルを自動的にデータベースに追加」とすると、自動更新を選ぶことができる。(自動更新利用に関しては、過去のデータベースは、一度削除して読みなおすようにしたほうが良い。)
初期版では、このライブラリー機能が、まともに動作しなかったので、安定して使えるようになった点に関しては、おおいな進歩である。
加えて、タグエディタ機能上から、アルバム・アートのネット検索が出来るようになり、数点検索してみた限りに於いては、比較的良好に検索されており、指定した数の候補の中から、選び、楽曲ファイルに埋め込むことが可能になった。惜しいことに、アートワークに関しては一部で互換性がなく、AMAZONからダウンロード購入した楽曲の画像がみられなかったりと、少し、互換性に欠ける面もあるので、全てに於いて、完璧というわけではない。
機能の詳細に関しては、Main Featuresで紹介されているので、そちらの方に話題は譲ることとして、
主だった改良は、FoobarやMusicBeeにあわせて、TAG関係の改良や、ネットラジオへの対応があげられているが、Full Change Logを参照すると、無数のバグフィックスがされているようだ。
果たして、TAGエディターは、使い物になるかどうかだが、メインにAIMP3を使っているユーザー以外は、今のところ手は出さないほうが、賢明ではなかろうか。使い方もメニューからタグエディタをいちいち呼び出してファイルを指定しないとならないので、使いにくい。一方、EXPLORERのエクステンションとして、AIMP3を呼び出すことが可能になっている。そちら経由で、楽曲ファイルをマウスの右クリックで呼び出して使うことができるので、そこから、タグエディタを呼び出して、アルバム・アートに相当する空白の表示窓を右クリックすると、画像検索という選択肢が表示される。そのまま検索ボタンを押せば、自動的に検索して、候補を表示してくれる。これを、適用する場合は、楽曲ファイルへの埋め込みが可能である。しかし、埋め込み以外の選択は行えず、別のファイルにアウトプットすることができない。もし、画像のみを取得したい場合などは、画像の横にURLをクリックすることにより、標準ブラウザー上に画像が表示されるので、それを、ドラッグするなり、右クリックで画像を保存する事になる。
筆者のおすすめとしては、画像は、楽曲の入っているディレクトリへ、手動でfolder.jpgなどとして保存して使ったほうが、安全であろうと考えている。
まだまだ、未完成としての位置が、拭い切れないソフトなのだが、こういった細部の改良は、次第にまともになってきている。

このソフトの大きな長所としては、音質の良さで、従来版のFoobar2000や、最近、少しふるわないMusicBeeよりもはるかに艶やかな、音がするソフトだ。こういった面を差し引きすれば、いまのところ、充分満足できるレベルに達したと、考えられなくもない。これまでの不都合を解消し得る価値は、このソフトにはある。ロシア製というだけで、なんとなく、イメージが怪しくて、いかついといった印象を持つユーザーもおおいと思うのだが、音楽に関しては、たくさんの音楽家を輩出しているだけに、彼らの耳を信じても、なんら不都合はなさそうだ。(前回のバージョンは、改悪になっており、いささか、いただけない存在ではあったが。。)
現在の印象としては、AIMP2のほうがいい音するよ!!といったことを忘れさせてくれるほどの音質向上を成し遂げているように感じる。最近急に日本で話題に取り上げられた若手女性ピアニスト:ユリアンナ・アヴデーエワあたりや、ブーニンあたりも、ロシア圏の人なので、彼らの耳は、相当肥えていると見ても、あまりおかしな話ではない。
使い勝手は、文化の違いなのか、今ひとつなところがあるが、やはり、今のところ、1番良い音がするサウンド・プレーヤーであるとしても、決して過言ではないだろう。
最近のトピックスとしては、Foobar2000のメジャーバージョンリリース、まあ、1.1.9なので、本当は、1.2.0くらいで、メジャー、2.0.0あたりで、フルメジャーチェンジとなるが、一応のところ、マイナーチェンジとするには、大きな改良を行なっているので、Foobarの公式ホームページでは1.1.7,1.1.8あたりのバージョンアップは、メジャー扱いとなっているようだ。
Foobar2000については、また別の機会に紹介しなくてはならないと思っているが、どうしたことか、全くふるわなかったFoobar2000も、内部エンジンの改良により、16bit Floating-point format WAVの実験的な実装はじめ、以前のFoobarではなくなってきている。
また、便利なソフトで、音質も、Foobarよりも良かったはずのMusicBeeは、どうも、スランプに陥ったのだろうか。そこそこの音は出しているのだが、なんだか、ふるわない気がしてならない。

(※音質に関しては、筆者の環境に於ける、主観的なものなので、ぜひ、ご自分の耳で確かめてみてほしい。)